ARCHITECTURE, FLOOR MAP

美術館の設計

ARCHITECTURE&DESIGN

当館は、秋野不矩作品との調和をコンセプトとして、建築家・藤森照信(ふじもり てるのぶ)氏により設計された美術館です。
漆喰の壁面、藤ござの通路、大理石の床など、自然素材をふんだんに活かした特徴的な建築です。地元特産の天竜杉もふんだんに使用されています。
正方形や翼廊状の1階展示室は、履物を脱いで鑑賞する形式となっており、他に類を見ない特色ある美術館となっています。

坂下からエントランスまでのアプローチ

APPROCH TO ENTRANCE

丘の上にある美術館までのアプローチ(坂道)は、常緑樹を中心とした植栽による自然との調和を図るため、たくさんの工夫がなされています。
擁壁のコンクリートブロックには杉板を張り、排水溝には木製の蓋が取り付けてあります。
坂道沿いには栗の木の板をしゅろ縄で繋ぎ、木のクサビで柱に取り付けた棚が設けてあります。
坂道を照らす街灯は、使い古しの木製の電柱に傘がついた白熱灯を取り付けてあります。

美術館の外観

OUTLOOK OF MUSEUM

秋野不矩美術館の屋根は、長野県諏訪産の鉄平石で葺かれ、外壁はワラと土を混入した着色モルタルと天竜の杉材の板で覆われています。
雨どいは、ヒノキとサワラの半丸太をくりぬいた木製となっています。雨の降る日に一度ご来館ください。雨どいから、雨が滝のように流れ落ちる光景をご覧いただけます。
また、2018年に敷地内に完成した藤森照信氏設計の茶室「望矩楼(ぼうくろう)」は、天竜ヒノキをはじめとする地域の素材を採り入れており、その個性的な外観は美術館本館と相まって不思議な景観を生み出しています。(内部非公開)

美術館の内観と仕様

INTERIOR

秋野不矩美術館の最大の特徴は履物を脱いで鑑賞するという点です。
藤森照信氏は秋野不矩の作品の汚れのなさに土足は似合わないと考え、「裸足で鑑賞いただく美術館」を設計しました。
第1展示室の床には籐ござが、第2展示室の床には大理石が敷き詰められています。足裏から伝わる自然のぬくもりの感触をお楽しみください。
白い漆喰の壁と藤ござ床が鮮やかな対比の第1展示室を進んだ先には、真っ白な空間に圧倒される第2展示室が広がります。
当館では、直に座ってゆっくりとご鑑賞いただけるよう、作品は通常の美術館よりもやや床に近い位置に展示してあります。床に座っていただき、時間を忘れてご鑑賞ください。

FLOOR MAP

【 浜松市秋野不矩美術館 建築概要 】

基本設計藤森 照信(ふじもり てるのぶ)
構造鉄筋コンクリート造、一部木造、地上2階建て
延床面積999.639㎡(1階 693.283㎡ 2階 306.356㎡)
外部仕上げ屋根:鉄平石藁
内部仕上げ外壁:わら入り着色モルタル、一部杉板張
天井・壁:わら入り漆喰
床:藤ござ(第1展示室)、大理石(第2展示室)